ホベツアラキリュウ全身復元骨格レプリカ
むかわ町穂別博物館
新千歳空港でレンタカーを借り、シシャモと恐竜のまち・むかわ町へ出発です。博物館へ行く前に少し寄り道をして、お土産やおいしいものを探索しましょう。
鵡川IC近くにある道の駅「むかわ四季の館」は、物産館、レストラン、温泉、ホテルを併設したまちの観光拠点です。その一角に、地元産アンモナイトなどを展示する「ミニ博物館」があります。「むかわ地域商社M Dino」が開発した恐竜グッズの販売コーナーもあり、北海道大学の小林快次教授監修のリアルなカムイサウルスのぬいぐるみや、「北海道恐竜拉麺」などユニークなアイテムが約20種類も並んで います。ここで恐竜に興味をもって、博物館まで足を伸ばすお客さんも多いそうです。また、道の駅エントランスホールの壁一面にカムイサウルスの等身大タペストリーを展示していますので、こちらもご注目ください。
道の駅館内にある「食事処たんぽぽ」は、地元産の魚介類を炭焼きや定食などで楽しめるお店。ランチには名物の「ホッキ丼」が人気です。シシャモ漁期にあたる10月、11月になると、旬のシシャモ料理を楽しみに遠方からもたくさんのお客さんがやって来ます。
チャンスがあれば、ぜひその季節にも!
地元の野菜から、魚介、シカ肉、果物、コロッケや燻製などの加工品まで、旬の特産品がそろう直売所です。生産者の皆さんが採ったその日、作ったその日に販売しているのが大きな魅力。今回の夕食は、穂別キャンプ場でバーベキューをする計画なので、ここで食材を購入しましょう。また、特産のシシャモは冷凍品があるので、一年中おいしく食べられます。
むかわ町は、旧鵡川町と旧穂別町が2006年に合併して誕生した南北に細長いまちです。内陸の穂別地区に移動して市街地に入ると、化石や恐竜のモチーフをたくさん発見! 街路灯や橋の欄干など意外なところにも隠れているので、車を降りてゆっくり探してみてください。
化石スポットを探しながら進んでいくと、いよいよ博物館に到着です。ここでは世紀の大発見となったカムイサウルス・ジャポニクス(通称:むかわ竜)をはじめ、中生代白亜紀(穂別では約1億年前〜7000万年前の地層)の生き物たちの様子を知ることができます。
博物館に入って最初に迎えてくれるのは、体長約8mのホベツアラキリュウ。穂別で胴体の大部分の骨格が発見され、博物館建設のきっかけとなった化石です。日本産クビナガリュウとしては、日本で2番目に全身骨格が復元されました。
カムイサウルスやクビナガリュウが生きていた白亜紀、北海道はアジア大陸の東端に位置していました。ただし、現在のような姿ではなく海でした。穂別も一面の海で、そのころの地層から、質の良い化石がたくさん見つかっています。館長の櫻井和彦さんにお話を聞きました。
「クビナガリュウやアンモナイト、モササウルス、ウミガメといった海の生き物だけでなく、カムイサウルスのように陸上の生き物の化石も見つかっていて、日本初、世界唯一といっためずらしい化石も数多くあります。穂別博物館は小さな博物館ですが、地元産のたくさんの化石をもとに、白亜紀の海の生き物、陸の生き物の両方を紹介している国内でも数少ない場所なのです」
2021年4月からは、「カムイサウルス・ジャポニクスの全身が見たい!」という多くの声に応えて、全身復元骨格の展示が始まりました。これは恐竜研究のトップランナー、北海道大学総合博物館の小林快次教授とともに製作したもの。顔を少しこちらに向けてたたずむ姿は、今にも動きだしそうです。
動物の化石は一般的に個体が大きくなるほど残りにくいと言われ、カムイサウルスのように8mもある全身の約8割が発掘された恐竜は日本初で、「日本で最大で最高の全身骨格のパーフェクト恐竜」と呼ばれています。
「博物館では約1億年前の地球に、どんな生き物たちが、どのように生きていたのかが分かります。カムイサウルスのように消えてしまったものもいれば、カメのように現在につながるものもいます。また、恐竜の仲間の一部は鳥として現在につながっています。そうした『生き物たちの移り変わり』も、ぜひ感じていただければうれしいです」と櫻井館長。過去から現在を知り、さらに未来の生き物たちを想像するきっかけが生まれそうです。
白亜紀の世界を満喫したあとは、自然のなかへ。穂別キャンプ場は「できるだけ自然のままで」という思いのもと拓かれたキャンプ場です。広い芝生のテントサイトのほかに、大・中・小・ミニの計18棟のバンガローがあり、焼肉台や寝具などの貸出しもあるので、いろいろな準備をしていかなくても利用できます。お昼に市場で買った食材を、炭火焼きで楽しみましょう。キャンプ場から約2kmの場所に温泉があり、1日のつかれを癒やすことができます。約1億年前、深い海だったころの穂別を想像しながら、ゆっくりおやすみなさい。