2日目
岩内町
有島記念館 ニセコ町
どんな美術館?
日本を代表する小説家・有島 武郎やニセコ町に関する資料を集めた記念館です。1979(昭和54)年、有島の生誕100年を記念して開館しました。羊蹄山やニセコ連山が見わたせる、景色のいいところにあり、まわりは公園になっています。館内のブックカフェでは、オリジナルのコーヒーで作った、モカ味のソフトクリームが大人気。有島の小説の題名がついたコーヒーもあじわえます。
有島 武郎について
1878(明治11)年、東京生まれの小説家です。札幌農学校(今の北海道大学)に進学し、アメリカに留学。日本に帰ってから、英語の教師としてふたたび札幌にやってきました。そのころ、有名な画家や小説家の仲間と芸術家のグループを作り、小説を書きはじめます。代表作のひとつが、木田金次郎をモデルにした『生れ出づる悩み』です。「自分の絵を見てほしい」とたずねてきた金次郎の才能をみとめ、漁師をしながら画家をめざす若者の小説を書きました。また、有島は今のニセコ町に農場を持っていましたが、自分のものでなく農場で働く貧しい人みんなのものにする、と決めるなど、人が助けあって生きるにはどうしたらいいのか考え続けました。
どんな作品をかいたの?
教えてくれる人 「有島記念館」学芸員 伊藤大介さん
有島武郎は小説家ですが、子どものころから絵が好きでした。『一房の葡萄』は、自分の絵の具では見た風景と同じ色にならないので、友だちが持っていた外国製の絵の具をぬすんでしまうというお話です。これは、有島さんが子どものころ本当にやってしまったことです。たしかに悪いことですが、とても色にこだわっていたことがわかります。
小説家になってからは、漁師だった木田金次郎と出会い、画家になる夢をおうえんしていました。『生れ出づる悩み』の、ふぶきの中で漁をする場面などとてもリアルですが、金次郎さんの手紙から想像して書いたんですよ。みなさんにはまだ少しむずかしいかもしれませんが、ぜひいつか読んでみてほしいです。
どこにあるの?
有島記念館 MUSEUM ページへ
ニセコ鉄道遺産群
2021年7月、ニセコ駅の近く(ニセコ大橋側)に、「ニセコ鉄道遺産群」ができました。2017年に引退した「ニセコエクスプレス(キハ183-5001)」を保存展示しているほか、1957(明治32)年に作られ、新得機関区に設置されていた転車台*や、1914(大正3)年につくられた蒸気機関車「9643」などを公開しています。
オススメ ビュースポット
アウトドア・インドア体験
ニセコリゾート観光協会(JRニセコ駅舎内に案内所あり)
https://www.niseko-ta.jp
ニセコエリアは、夏と冬のアクティビティやインドアでの体験が充実。人気のラフティングや乗馬に、料理・クラフト体験など、自然の中で思いっきり楽しめます。さあ、ニセコで冒険しましょう!
*写真はすべて「ニセコリゾート観光協会」提供
小川原脩記念美術館 倶知安町
どんな美術館?
羊蹄山がすぐ近くに見える、丘の上の美術館です。倶知安町出身の画家・小川原 脩の絵が約700点集められていて、そのうち20〜30点を展示。季節によってちがう作品に入れかえています。絵を見たあとは、ガラスばりのロビーで、まっ正面にそびえる羊蹄山とむかいあってすわり、ひとやすみ。おとずれた人には、コーヒーのサービスや、羊蹄山からわきだした倶知安町のおいしい水をおすすめしています。
小川原 脩について
1911(明治44)年、倶知安町生まれ。東京美術学校(今の東京藝術大学)で油絵を勉強し、東京で活やくしていました。子どものころは、絵にまったくきょうみがなかったそうですが、旧制中学(今の高校)のときに、東京からきた美術の先生にえいきょうされて、きょうみをもちはじめました。となりの共和町から同じ学校にかよっていた西村計雄も、この先生の指導をうけています。さらに、学校でケンカしたバツとして家に閉じこもっていたとき、友だちが油絵の具をくれたことで、絵をかくのが大好きになりました。戦争が終わってからは、ふるさとの倶知安町へ帰り、馬や犬、白鳥などの動物をよくかくようになります。それから91歳まで、画家ひとすじに生きました。
どんな作品をかいたの?
教えてくれる人 「小川原脩記念美術館」学芸員 沼田絵美さん
むきだした歯と、ライオンみたいなたてがみ。「馬」は、一度見たら忘れられないインパクトのある作品です。馬が歯をむきだすのは、いかくしたり、からかったりするときの表情といわれます。ボサボサのたてがみは、人が手入れしていないからで、飼われている馬ではないようです。自由に生きている馬が、こっちを見てこんな顔をしているのはなぜでしょう。絵の前で、顔マネをしながら考えてみると楽しいですよ。 もうひとつの「群れ」という作品は、みんなと同じであることがいいとされる社会を、犬の群れであらわしています。ぽつんとすわる1匹の犬は、群れからはずれて生きる画家じしんです。小川原さんが絵にこめた気持ちを想像してみましょう。
どこにあるの?
小川原脩記念美術館 MUSEUM ページへ
オススメ ビュースポット
羊蹄山
富士山にたとえて「蝦夷富士」と呼ばれる、北海道を代表する山です。今回めぐったミュージアムからもよく見えるところがありましたが、ニセコエリアの広い畑のむこうにそびえる姿は大迫力です。
じゃが太くんの「日本一の水」
場所:倶知安駅前公園
羊蹄山のふもとからわき出る水は、まろやかな味わいで「日本一の水」とも言われます。駅前には、倶知安町のキャラクター・じゃが太くんがデザインされた水飲み場があります。帽子(羊蹄山をイメージ)のところにじゃぐちがあって、飲めるようになっています。(※冬期は使用不可)
*写真はすべて倶知安町提供
小樽駅
ミュージアムの旅も終わり。少しだけアートにくわしくなれたかな?