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Hokkaido Digital Museum

時を超えて、縄文の息吹に耳を澄ませてみよう

北斗市では現在までに108の遺跡が見つかっており、うち90以上が縄文時代のもの。時代とともに少しずつ型式が変化していく土器が途切れることなく出土している

1日目

北海道新幹線を降りた新函館北斗駅から、縄文文化の旅がスタートです。レンタカーを借りる前に、駅2階通路の壁面に注目してみましょう。

新函館北斗駅

駅に併設する北斗市観光交流センター2階の通路壁面に、北海道の縄文文化や、アイヌ文化を紹介する展示スペース「北海道の文化」があります。長さ10m、高さ2mに約60点の資料が展示され、木製キッズパネルやデジタルパズルも設置。また、各地の博物館情報も入手できます。

新函館北斗駅に入る北海道新幹線
北海道の特色ある文化の触れることができる
directions_car 車で約10分

北斗市郷土資料館

縄文時代、津軽海峡をはさむ北海道と北東北地方では、中期の「円筒土器文化」に代表されるような、使用する土器など様々な要素に共通性をもつ文化が各時期で展開しました。世界遺産となった「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、まさにこのエリア。北斗市は、この円筒土器文化圏の範囲内に位置するまちです。
北斗市総合分庁舎2階にある「北斗市郷土資料館」では、先史時代から現代にいたる北斗の歴史・文化を紹介しています。

「先史コーナー」は2021年4月にリニューアルし、縄文文化にあまり詳しくない人も、また、より深く知りたい縄文ファンも楽しめる充実した展示が特徴です。入口にイントロダクションとして、茂辺地4遺跡周辺のジオラマがあります。木々が茂る森の中に小さな広場があり、竪穴住居が並んでいます。周りを丘に囲まれて、住み心地が良さそうです。当時の人々は近くを流れる川で魚をとっていたのでしょうか。森ではシカを追いかけていたかもしれません。いろいろな想像がふくらみます。

メインとなる展示は、旧石器時代から縄文時代(早期〜晩期)、その後の続縄文、擦文(さつもん)時代までの土器・石器・土偶などが整然と並んでいます。特に見逃せない土器が、国の重要文化財にも指定されている人形装飾付異形注口土器。原品は東京国立博物館にありますが、レプリカだからこそ、来館者が台座を自由に回して全方向からじっくり見ることができます。

続縄文時代の遺跡から出土した、クマをデザインした土器もあります。土器・土製品にクマのデザインが用いられる例は、それ以前にもありましたが、続縄文時代の北海道で急に数が増えました。学芸員の時田太一郎さんによると、「縄文時代の北海道と東北はずっと同じ歩みを続けてきましたが、続縄文のころから徐々に違う道を歩み始めました。クマをかたどった土器は、そのことを示す貴重な資料の一つでもあります」とのこと。
コンパクトながら見応え充分の館内は、すべて写真撮影OK、SNSへの投稿も大歓迎です。「文化財の保存は、身近に感じてもらうことが一番大事ですから」と時田さん。お気に入りの土器や土偶を見つけたら、記念撮影をお忘れなく。

北斗市の茂辺地地域から出土した、縄文時代後期の人形装飾付異形注口土器(レプリカ)。口頸部の前後に人面が施され、土偶のような人形(ひとがた)も2体装飾されている
縄文時代の集落周辺の様子がわかる茂辺地4遺跡のジオラマ
縄文時代中期の土偶。全長約2.5cmで道内最小級
茂別遺跡から出土した、土器のフチにデザインされたクマたち

北斗市郷土資料館 MUSEUM ページへ

directions_car 車で約40分

市立函館博物館

次は考古学あけぼのの地、函館へ。
日本の考古学の基礎をつくったエドワード・S・モースは1877(明治10)年、日本で初めて大森貝塚(東京)を発掘調査し、翌年函館にも立ち寄り、函館公園で貝塚の発掘発査をしました。そのとき採取した標本は「開拓使函館仮博物場」(現・市立函館博物館)に受け継がれています。現在の市立函館博物館は函館のみならず、北海道内や全国の縄文文化の資料を多数所蔵しています。

なかでも注目したい資料が「動物形土製品」です。土を素材に人形に作ったものを土偶、動物の形に作ったものを動物形土製品と呼び、函館市では、イノシシ(ウリ坊)形土製品など複数が出土しています。北海道に棲息しないイノシシが出土した背景には、当時の人々の暮らしや慣習が深く係わっていたと考えられ、たいへん興味深い資料です。

戸井貝塚から出土した、シカの角で作られた角偶(かくぐう)も見逃せません。表面には貫通しない飾り穴がたくさんあって、実際に試してみると1つあけるのに丸1日かかったそうです。シカの角で作ったスプーンは縄文時代の食生活がうかがえるとともに、病人や子どもに食事を与えていた痕跡も見られます。学芸員の佐藤智雄さんの説明を聞くと、さらに当時の人々に親しみを感じます。
「縄文人は、子どもも大人もお年寄りもみんな役割をもって、お互いの命を大切にしました。誰かのことを考えながら手の込んだ装飾品を作ったり、海を越えていろいろなものを交易したり、そういう暮らしが楽しかったからこそ、縄文時代は1万年以上続いたのではないかと思います」。

津軽海峡をはさむ北海道と北東北は、日本のなかでいち早く縄文文化が始まった地域です。そして本州が弥生時代に移行したあとも、狩猟採集文化が残る「続縄文時代」が続きました。この地域は日本でもっとも長く縄文文化が続いた土地、「縄文のなかの縄文がここにある」といえるかもしれません。そう考えると、この旅がますます楽しくなってきます。

函館市日ノ浜遺跡から出土したイノシシ形土製品。胴体にイノシシの幼獣(ウリ坊)の特徴であるシマ模様が表現されている
函館公園内にある函館博物館。歴史は古く、1879(明治12)年に開拓使函館仮博物場を開いたことに始まる
サイベ沢遺跡から出土したクマ形土製品
日吉遺跡から出土したクマ形土製品
戸井貝塚から出土した角偶。頭に1つだけ貫通した穴があり、ヒモを通して誰かの首や胸を飾ったのかもしれない
谷地頭から出土した、長さ39.5㎝の大形磨製石斧。1880年トーマス・W・ブラキストンが開拓使函館支庁仮博物場に寄贈した 

市立函館博物館 MUSEUM ページへ

directions_car 函館市・北斗市内の菓子店へ

「函館縄文スイーツ」探し

博物館見学のあとは、縄文スイーツを探してまち歩きにでかけましょう。函館地域の菓子団体などで構成する「函館スイーツ推進協議会」は、2020年10月から縄文文化をテーマにしたお菓子の商品開発を進めています。縄文人が食べていたクリやクルミなど木の実を使ったり、土器や土偶のデザインをあしらったり、各店の独創的なアイデアでいろいろなお菓子があります(商品や店舗情報は下記公式サイトからご確認ください)。

directions_car 函館市内の飲食店へ

エゾシカ料理

函館市には、縄文人の山の幸・エゾシカ肉をイタリアンや炭火焼き、ジンギスカンなどで堪能できる飲食店がたくさんあります。毎月第4火曜日(4・火)は「シカの」の日に定められ、賛同店ではエゾシカメニューに力を入れています。赤身主体で旨味が濃く、鉄分が豊富、しかもローカロリーなエゾシカ肉、ぜひこの機会に味わってみましょう!

エゾシカ肉はイタリアンやフレンチ、和食、中華など幅広いメニューに合う

「シカの日」オフィシャルサイト

directions_car 函館市内のホテルへ

函館市内のホテルで宿泊

充実した初日の終了です。明日に備えてゆっくりお休みください。

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